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2025/12/25 16:23
シール織とは、毛足の長いパイルを立体的に仕上げる特殊な織り方です。
名前の「シール(Seal)」はアザラシを意味し、
その名の通り、なめらかで密度のある毛並みが大きな特徴です。
この技術は、和歌山県・高野口地区を中心に発展してきた、
日本でも限られた産地でしか作れない伝統的な織物技法です。
シール織の主な特徴
① 毛足が長く、なめらか
シール織は、パイルを長めに出し、
さらに仕上げ工程で毛並みを丁寧に整えるため、
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触れた瞬間にふんわり
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なでると毛流れを感じる
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見た目にも高級感がある
という、一般的な毛布とは違う質感になります。
② 毛羽抜け・毛玉が起きにくい
通常の起毛毛布は、使用や洗濯を重ねると
毛羽が抜けたり、毛玉ができやすくなります。
シール織は
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パイルがしっかり織り込まれている
-
毛並みを整える工程が多い
ため、毛羽抜けが少なく、毛玉になりにくいのが特長です。
「長く使っても見た目が変わりにくい」
これはシール織ならではのメリットです。
シール織 毛布ができるまで
― 手間を惜しまない、職人の工程 ―
① 織り(パイルを織り込む)

シール織は、毛足(パイル)を織り込みながら生地を作る特殊な織物です。
表面に出る毛の長さや密度を調整しながら、
ベースとなる生地をしっかり織り上げます。
▶ この時点では、まだ毛並みは整っていません。
② 成形(毛足を立たせる)

織り上がった生地を、
毛足がきれいに立つように整える工程です。
毛の流れ・方向を確認しながら、
ムラが出ないように全体を均一に仕上げていきます。
▶ ここで、シール織特有の立体感が生まれます。
③ 糸抜き(不要な糸を取り除く)

シール織では、仕上がりを美しくするために
不要な織り糸を手作業で抜く工程があります。
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見た目をきれいにする
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毛並みを乱さない
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仕上がりの均一性を高める
ための、とても重要な作業です。
▶ 機械ではできない、職人の目と手の仕事です。
④ ブラッシング(毛並みを整える)

毛足をやさしくブラッシングし、
毛並みを一定方向に整えます。
この工程によって
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なめらかな手触り
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光沢感
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高級感のある見た目
が生まれます。
▶ 触った瞬間の「違い」は、この工程が決め手です。
⑤ 剪毛(せんもう)(高さを揃える)

毛足の長さを微調整し、
全体の高さを揃える工程です。
長すぎず、短すぎず、
あたたかさと肌触りのバランスを見ながら仕上げます。
▶ 使い心地に直結する、大切な工程です。
⑥ 最終仕上げ・検品
最後に
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毛並み
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厚み
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ムラや傷がないか
を一枚ずつ確認します。
合格したものだけが、
シール織毛布としてお客様の元へ届けられます。
なぜ、シール織は高品質なのか?
これらの工程はすべて
✔ 手間がかかる
✔ 職人の技術が必要
✔ 大量生産に向かない
だからこそ、
✔ 毛羽抜けしにくい
✔ 長く使える
✔ 見た目も美しい
毛布が生まれます。
スタッフのひと言
シール織は、
「早く・安く」作るための織物ではありません。
手をかけることでしか生まれない良さを、
一枚一枚に込めています。